「経理業務が属人化してしまっている」と悩んでいる企業の方、多いのではないでしょか。経営を左右する経理業務は専門知識を必要とするので、誰でもできるというわけではありません。そのため、非常に属人化しやすくなります。しかし、経理業務の属人化は企業にとって危険です。そこで本記事では、経理業務の属人化が危険なワケと、属人化の原因・解消方法を解説していきます。
この記事はこんな方におすすめ
- 経理業務が属人化している企業の方
- 属人化の解消方法を知りたい方
属人化とは?
属人化とは、特定の社員が行っている業務フローや進捗状況がほかの人に共有されていない状態を指します。特定の社員がいなければ、経理業務に手を付けられない状態です。
では、経理業務が属人化してしまうと、なぜ危険なのでしょうか。その理由を見ていきましょう。
経理業務の属人化が危険なワケ
経理業務が属人化すると危険なワケは、次の4つです。
- 経理業務がブラックボックス化してしまう
- 経理業務の品質管理ができない
- 担当社員が欠勤すると対応できない
- 経理業務のノウハウが企業に蓄積できない
経理業務のブラックボックス化してしまう
経理業務が属人化すると、業務がブラックボックス化してしまいます。
ブラックボックス化とは、経理業務の知識や業務フロー、進捗状況などが特定の担当社員しかわからず、周囲が把握できないことです。
経理業務がブラックボックス化すると、「今の業務フローは効率的か」「経理業務で改善するべきところはないか」などが考えられないため、業務改善ができなくなってしまいます。
経理業務の品質管理ができない
経理業務が属人化してブラックボックス化すると、品質管理もできません。ほかの社員や上司による第三者チェックができないので、不正やミスが起きやすくなります。
すると、経理業務の品質管理ができず、品質が不安定になってしまいます。
担当社員が欠勤すると対応できない
経理業務の属人化は、特定の担当社員のみが業務フローや進捗状況を把握しています。そのため、特定の担当社員が欠勤すると、経理業務に全く対応できなくなってしまいます。
さらに、特定の担当社員が病気や怪我などで長期間欠勤することになった場合、経理業務が完全にストップしてしまい、企業の経営状況に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
経理業務のノウハウが企業に蓄積できない
経理業務が属人化すると、経理業務のノウハウが企業に蓄積できません。
経理業務の知識や業務フローはもちろん、経理業務のちょっとしたコツや、業務を進めやすいやり方など、経理業務のノウハウも、特定の担当社員だけのものになってしまいます。
すると、特定の担当社員が長期間欠勤したり離職したりしたとき、経理業務のフローやノウハウを一から構築しなければいけません。
目指すは”標準化”
経理業務が属人化してしまっている企業が目指すべきは、経理業務の標準化です。
標準化とは、特定の担当社員以外の社員でも、同じ品質で経理業務を行える状態を指します。
経理業務を標準化すれば、特定の担当社員の欠勤や離職に左右されず、適宜業務改善を行いながら質の高い経理業務が行えます。第三者のチェックもしやすくなるので、不正やミスも減るでしょう。
標準化を目指すことは、属人化の危険から企業を守ることにつながります。
経理業務を標準化するには、属人化してしまった原因と解消方法を知ることが必要です。次の章から見ていきましょう。
属人化してしまう原因
経理業務が属人化してしまう主な原因は、次の3つです。
- 人手が足りない
- ベテラン社員への知識・経験の集中
- 経理業務がマニュアル化されていない
人手が足りない
人手が足りずに経理業務を担当できる社員がいないと、属人化につながります。
特に経理業務は、専門知識を必要とする業務です。そのため、誰でもすぐに雇えるというわけではありません。
したがって、専門知識を持っている特定の担当社員のみが経理業務を行うことになってしまいます。
ベテラン社員への知識・経験の集中
経理業務を把握している担当のベテラン社員がいると、そのベテラン社員に知識と経験が集中し、属人化を生みます。
「この経理業務はあの人に聞かないとわからない」という状況になってしまい、ベテラン社員も「私にしかできない仕事」と思い込んでしまいます。
また、ベテラン社員に知識と経験が集中することで、周囲の社員が
「この経理業務は難しそうだからやめておこう」
「経理業務のフローがわからないからすべて把握しているあの人に任せよう」
と考えてしまい、属人化が加速するでしょう。
経理業務がマニュアル化されていない
経理業務がマニュアル化されていないと、新たな人員を配置することが難しくなり、属人化してしまいます。
また、マニュアルがないと引き継ぎの際に業務フローを口頭で伝えることになるはずです。すると、引き継がれた人にしか業務フローが伝わらず、再び属人化を生んでしまいます。
属人化の解消方法
属人化の解消方法は、以下の4つです。
- 業務フローを見直す
- 経理業務をマニュアル化する
- 知識を共有できる仕組みを作る
- 経理業務をアウトソースする
業務フローを見直す
まずは、経理の業務フローを見直しましょう。
経理業務があまりに複雑だと、新たな担当者が業務をマスターするまでに時間がかかり、属人化の解消がしづらいからです。
業務フローの見直しでは、現在行っているすべての経理業務を洗い出し、各業務に必要な人数と時間を書き出しましょう。現状、業務がやりづらいなどの不都合があれば改善策を考え、無駄な工程は省きます。なるべくシンプルで効率的な業務フローにすることが、属人化解消への近道です。
経理業務をマニュアル化する
経理業務のマニュアル化も属人化の解消には必須です。見直した業務フローをマニュアルにして、誰が見ても経理業務を行える状態にします。
マニュアルは作成したらそれで終わりではなく、新たに業務改善を行ったら、最新の状態にアップデートしていきましょう。そうすることで、いつ誰が経理業務を行っても、業務の品質を維持できます。
知識を共有できる仕組みを作る
経理業務の知識やノウハウを共有できる仕組み作ることで、特定の担当社員に知識やノウハウが偏らず、属人化を解消できます。
まずは、現在経理業務を担当している社員が持っている知識やノウハウを明らかにし、文章や図で記録します。記録したものは、経理業務を担当する人がアクセスできる場所に保管しておきましょう。
仕組みが出来たら共有を習慣化させる
「知識やノウハウの共有」そのものを業務の一つとして、日々の業務報告を義務付けるようにしましょう。すると、定期的に知識やノウハウが共有され、企業に蓄積されていきます。
このような取り組みをすることで、特定の経理担当者のみが持っていた知識やノウハウが企業全体のものになり、企業としての経理業務の品質が上がるでしょう。
経理業務をアウトソースする
アウトソースとは
自社で行っていた業務を外部に委託すること。
属人化を解消するために、新たに経理担当者を採用しようと思っても、経理は専門知識を必要とするため、なかなか見つからないという場合もあります。
そんな時におすすめなのが、経理業務をアウトソースする方法です。
外部に委託することで経理の業務フローが見直せるほか、経理業務を抱え込んでいた社内の経理担当者が、重要なコア業務にのみ集中できるようになります。
また、「担当社員が休んだら経理業務が回らない」という心配もありません。
経理業務を丸ごとアウトソースできれば、経理担当がやめる度に採用に悩む必要もなくなります。経理の専門知識を持った社員が少なく、属人化の解消がしづらいという企業の方は、経理業務のアウトソースもぜひ検討してみてください。
まとめ
経理業務が属人化すると、業務のブラックボックス化や、品質管理ができないといった危険が潜んでいます。経理業務の品質を維持し、誰が担当しても経理業務がスムーズに行える”標準化”を目指すためには、属人化した原因を把握して解消することが大切です。属人化を解消して、企業の経理業務を効率化させましょう。