- プロジェクトの良かった点・悪かった点をチームで振り返って、次につなげたい。
- KPTを活用し、業務の生産性を向上させたい。
仕事をする中で「仕事を振り返る」機会はしばしばあります。
- 大きなプロジェクトが終わった直後
- 期末のタイミング
- 新しい目標設定をする際
など、日常的に振り返りを行いますよね。
このような、振り返りを行うときに役立つのがKPTというフレームワークです。
KPTは、これまでの仕事を「Keep(継続するもの)」「Problem(改善点)」に振り分けた後「Try(新たに取り組むべきこと)」を書き込み、業務改善につながる今後の活動を検討するという手法です。
本記事では、KPTを活用する際に準備しておくとよい物や進め方、メリット、KPTを成功させるポイントを、どこよりも詳しく解説していきます。
この記事を読むことでKPTをすぐにでも始められる準備ができますので、ぜひ業務改善にお役立てください。
KPTとは
KPTとは、「Keep」「Problem」「Try」の頭文字をとったフレームワークで、業務やプロジェクトを振り返り、生産性を向上させることに適しています。
KPTの3つの要素
- K(Keep)・・・今後も継続すると良いこと
- P(Problem)・・・改善すべき問題点
- T(Try)・・・新しく取り組むべきこと
KPTは以下の手順で行います。
- K(良かったこと)とP(悪かったこと)を書き出す
- KとPに対するディスカッションする
- T(次に試すこと)を決める
KPYを行う手順については、後ほど詳しく解説します。
先に見たい方はこちらをクリックしてください。 ※記事内の該当箇所にジャンプします。
KPTのメリット
KPTを活用するメリットは以下の4点です。
KPTのメリット
- 課題を早い段階で見つけ解決できる
- コミュニケーションの促進ができる
- 個々が持つ有益で共有可能な情報を共有できる
- 継続的な改善サイクルを作り出すことができる
課題を早い段階で見つけ解決できる
KPTでは現在発生している課題(Problem)の洗い出しや具体的な解決策(Try)をについて、それぞれ参加者で出し合い検討するため、一人では気づけなかった部分にまで早い段階で見つけることができます。
課題を早期検出できるため、解決のための行動も迅速にできます。
コミュニケーションの促進と個々が持つ有益で共有可能な情報を共有できる
KPTでは参加者全員が意見を出し合い議論を行うため、半ば強制的にコミュニケーションを取りあうことになります。
普段あまりコミュニケーションを取っていなかったメンバーとも話すことができるため、その後のコミュニケーションも円滑になることが期待できるのです。
個々人が持つスキルやノウハウの共有ができる
個々人が持つスキルやノウハウの共有が出来ることもKPTのメリットです。
同じ部署でも分野が違えば持っているスキルや情報も異なります。あえて複数人で行うことにより共有可能で有益な情報をシェアすることが出来るのです。
特に、KPTでは付箋に書くという形で意見のアウトプットができるため、自分から発言することが苦手な人も意見を述べやすいというメリットもあります。
これにより、埋もれてしまいがちな重要な意見が得られることもあります。
継続的な改善サイクルを作り出すことができる
プロジェクトや日頃の業務の振り返りをKPTを通じて定期的に実施することで、少しずつそのプロセスが洗練されていき、業務改善のサイクルを作りだすことができます。
特にKPTでは具体的な取り組み(Try)の検討と実施、その結果の振り返りもセットで行われるため、KPTを繰り返すたびに、改善の実感が得られやすく、モチベーションの向上も期待できるでしょう。
KPTを始める前に
KPTを始めるにあたり、まず次の4点を確認しておく必要があります。
KPTを始める前の確認事項4点
- 実施タイミング
- 準備するもの
- 所要時間
- 参加人数
実施タイミング
KPTを行うタイミングは、プロジェクトの区切りがついた直後がよいとされています。
プロジェクトがひと段落した直後であれば、業務の進め方について細部まで覚えている状態で書き出すことができるため、あまり時間を開けずに振り返りを行うことが好ましいです。
準備するもの
準備するものとして、もっとも一般的なものをご紹介します。
KPTで準備するもの
- ホワイトボード
- 各々が意見を書き込むための付箋
ホワイトボードはメンバー全員が見ることができるので意見を交わし合うのに便利です。
付箋は各自が意見を書き込むために用意し、書き込んだ付箋をホワイトボードに貼り出すことで全員で振り返りができます。
所要時間
KPTにかける時間は平均で1時間〜1時間30分位がちょうどよいでしょう。
振り返りに時間をかけすぎることにより、本来の業務に差し支えるようでは本末転倒です。
あまり長い時間をかけても、細か問題点や実現の可能性が低い取り組みばかりが出てくるようになり、生産性が悪くなる場合もあるため、適度な時間設定を心がけましょう。
参加人数
KPTを行う際の参加人数は基本的には5~6人ほどの小規模なグループで実施することが多いです。
また、KPTは個人の振り返り作業としても充分活用できますので、日ごろから仕事の進め方について「K」と「P」を書き出していくことで業務改善につなげられます。
KPTの進め方・手順
KPTの進め方は以下の手順です。
- K(良かったこと)とP(悪かったこと)を書き出す
- KとPに対するディスカッションする
- T(次に試すこと)を決める
それでは、それぞれの手順を詳しく解説していきます。
K(良かったこと)とP(悪かったこと)を書き出す
まずは、プロジェクトの中で実施した取り組みや進め方について「良かったこと」と「悪かったこと」をそれぞれあげていきましょう。
ポイントは些細なことでもいいので直感的にたくさん出すことです。
以下のイメージ図のように、ホワイトボードに各々が付箋に書き出した「良かったこと」「悪かったこと」を貼り出していきます。
KとPに対するディスカッションする
貼り出した付箋の内容については、主観的な意見が多いため、より客観的な意見を参加者全員が話し合い、ホワイトボードに書き出していきます。
ここでのポイントは、以下の3つです。
ポイント
- 理由:なぜよかった(悪かった)のか
- 原因:根本的な原因は何か
- 課題:改善点はないか
ポイントを踏まえて先ほどのイメージ図に追加していきます。
原因と課題では逆にどうなのかという点も考えるとさらに良いでしょう。
例えば、
- 原因の面:個人の問題が発生していた場合、原因がチーム側にないか
- 課題の面:良かったことの中に課題、悪かったことの中に成果はないか
などです。
T(次に試すこと)を決める
改善点まで出すことができれば、「次に試すこと」を決めていきます。
ここでのポイントは、具体的に実施するTryを考えることです。
具体的に実施するTryになるよう意識することで、その後の評価の際に「Tryを実践できたかどうか」の判断がしやすくなります。
KPTを成功させるための3つのポイント
KPTを成功させるためのポイントは以下の3つです。
KPTを成功させるポイント
- 意見を出しやすくする環境作り
- 定期的に行い継続する
- アイデアは偏らないようにする
意見を出しやすくする環境作り
KPTを成功させるには、参加者が意見を出しやすくする環境作りも大切です。
例えば、参加者が多い場合、他の参加者に遠慮して意見が出しにくくなることもあります。
その際は、少人数のグループに分けたり、進行役を置くなどして、意見が出やすい環境を整えるようにしましょう。
特に慣れないうちはなかなか発言できない人も少なくありませんので、その場に慣れた進行役が質問を投げかけるといったやり方で発言を促す工夫もしていくとよいです。
定期的に行い継続する
KPTは継続していくことで改善のサイクルが生まれるため、定期的に行うことが成功のコツです。
そのため、一度の話し合いで細部まで決めてしまうよりも、本当に必要な部分のみ「Try」を決め、適度に次回への課題を残す方がよい場合もあります。
現実の問題は、一度のKPTですべての問題が解決することはありません。
「Try」の実施により、新たな課題が顕在化することもあるため、定期的にKPTを行い改善のサイクルを回していくことで、業務改善のみならず生産性の向上にも繋げていきましょう。
アイデアは偏らないようにする
KPTの各項目のアイデアは偏らないようにしましょう。
例えば、参加者が高い問題意識を持っているメンバーで構成されている場合には、どうしても「Problem」の方に議論が偏るケースが多いです。
問題だけでなく、それまでの活動での成果などの評価すべき点や継続していく「Keep」にも目を向けることが必要です。
まとめ:KPTは取り組みやすく、継続的な実施でメリットは倍増する
今回は、KPTについて解説しました。
KPTは業務改善フレームワークの中でも最も取り組みやすい手法といえます。準備する物はホワイトボードと付箋と非常にシンプルです。
KPTは継続的に実施することでどんどん効果は高まります。社内のコミュニケーションの促進や業務改善のサイクルができることで生産性の向上にも繋がるので、継続して行うことがおすすめです。
KPTを取り入れ、ぜひ今後の業務にお役立てください。
また、業務改善に関するフレームワークを「業務改善できるフレームワークとは?効率化にも役立つ9選を徹底紹介!」で紹介しています。
業務改善に悩む方は合わせてご覧ください。