- 従業員を雇用するときに必要な保険と加入条件を知りたい
- 雇用に関する保険手続きの流れや届出先を事前に確認したい
- 家族を雇っているときにはどうなるの?
初めて従業員を雇用するときには、雇用保険や社会保険の加入条件や手続き方法が複雑で分かりにくかったりしますよね。
そこで本記事では、以下のポイントを押さえて解説していきます。
- 雇用に関わる保険の種類
- 労働保険の手続きの流れ
- 未加入の場合の罰則等
- 家族を雇っている場合の保険の扱い
この記事を読むことで、雇用に関する保険と手続きについて網羅的に把握できるようになります。
初めての雇用を検討されている個人事業主の方のご参考になれば幸いです。
従業員を雇う際に関わる保険について
実際に従業員を雇うと労働保険(雇用保険・労災保険)、雇用人数によっては任意で社会保険(健康保険・厚生年金)の手続きを進める必要があります。
各保険はどのような制度になっているでしょうか。保険料の支払い条件と合わせて以下の表にまとめました。
保険の種類 | 制度の概要 | 保険料の支払い条件 | |
労働保険 | 雇用保険 | 労働者が失業などの理由で雇用の継続が困難となる状態になったり、技能の習得などのために職業教育訓練を受けた場合に給付を行う制度 | 従業員を1人でも雇えば事業主も保険料を支払う |
労災保険 | 労働者が勤務中や通勤の際に災害に遭った場合に、医療費や休業中の賃金の補償を行う制度 | 従業員を1人でも雇えば事業主が全額を支払う | |
社会保険 | 健康保険 | 医療保険制度とも呼ばれ、国民全員が加入・保険料納付の義務があり、加入者に医療サービスを提供する制度 | 従業員が5人以上になると保険料の半額を事業主が払う |
厚生年金 | 日本における公的年金のひとつで、企業に勤めている労働者が加入する年金制度国民年金に上乗せする形で保障されており、毎月の保険料は会社と従業員が折半して支払う | 従業員が5人以上になると保険料の半額を事業主が払う |
従業員を一人でも雇用したら、労災保険に加入しなければなりません。
また、雇用保険は、加入要件を満たす従業員を一人でも雇えば加入が必要になります。
雇用保険の加入要件
- 雇用期間定年まで
- フルタイム
または、
- 労働時間週20時間以上かつ、契約期間31日以上
従業員が上記の加入要件に当てはまらない場合は雇用保険の加入対象外です。
労災保険の加入手続きを労働基準監督署で行なった後、雇用保険に関してはハローワークで手続きを行ないます。
労働保険の手続きの流れと未加入の罰則等について
従業員を初めて雇用した際に必要な手続きの流れは、以下の通りです。
- 【所轄の労働基準監督署にて】従業員を雇った日から10日以内に「保険関係成立届」を提出する
- 【所轄のハローワークにて】「雇用保険適用事業所設置届」を提出する
- 【所轄のハローワークにて】雇用保険の加入手続きのための「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する
- 【労働局または労働基準監督署にて】従業員を雇った日から50日以内に「概算保険料申告書」を提出し、概算保険料の申告と納付を行う
また、未加入に関しては、「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則があります。
実務上は、対象者全員遡っての雇用保険加入と、未納付の雇用保険料徴収が行なわれることになります。
従業員を雇う際は、事前に加入条件が適用されるかを必ず確認するようにしましょう。
家族を雇う場合の保険について
個人事業主が同居する家族(配偶者・子供・兄弟姉妹)を雇った場合、その家族はもう1人の家族従事者という扱いになります。
つまり、実質的に従業員ではないため、家族は雇用保険に加入できません。
一方で、労災保険への特別加入は認められています。
ただし、家族以外にも従業員を雇っている場合で、以下の条件をすべて満たしていれば、家族であっても他の従業員と同じ扱いとなります。
- 勤務時間・休日制度・給与の支払い形式などが家族以外の従業員と変わらない
- 雇用主の指揮命令に従い働いていることが明確である
これらが当てはまる場合には、労災保険は「中小事業主」のほうに加入するなど、必要な手続きが変わってきます。どのように手続きすべきか迷ったら、自治体や組合に相談してみましょう。
まとめ
今回は、個人事業主が従業員を雇用するときに必要な保険手続きについてご紹介しました。
加入が必要な条件や届出方法を事前に確認しておき、「手続きの期限に間に合わなかった」ということがないようにしておくことが必要です。
万が一、未加入の状態で雇用を続けていると罰則がありますので、注意しましょう。
また、こちらの記事で、「個人事業主がはじめて人を雇うときに必要な手続き」について紹介しております。
よろしければ合わせてご参考になさってください。