- 開業したばかりで税金のことがよく分からない
- どの税金をいつまでに納付するのかまとめて知っておきたい
個人事業主に課税される税金は、所得税や消費税、住民税など様々あります。
どの税金をいつまでに納付する必要があるのかを把握しておきたいですよね。
本記事では、個人事業主の事業に関する税金の納税スケジュールを網羅的に解説していきます。
この記事は、ご自身が課税対象になる税金がどれなのか、対象となった時の納付期限について把握できるようになっています。ぜひご参考になさってください。
個人事業主の事業に関する税金の納税スケジュール
個人事業主が事業に付随して課税される税金は主に以下の4つです。
- 所得税
- 消費税
- 住民税
- 個人事業税
個人事業主が事業を行えば、収入から経費を差し引いた所得が発生します。その所得に対して所得税などが課税されます。
それぞれの納付スケジュールを次の項でそれぞれご紹介します。
所得税
所得税は、原則、確定申告期限日までに納付します。通常は、3月15日まです。
また、事前申請を行えば銀行口座からの振替納付も可能です。口座振替の場合は、例年4月下旬頃に振替されます。
所得税の納付については、特に通知書などが送られてくるわけではありませんので、 確定申告書で計算した所得税額を自ら納付します。
消費税
消費税の納付期限日は原則3月31日です。消費税の場合も、振替納付を事前申請すれば4月下旬に振替されます。
ただし、消費税は、開業してから2年間は基本的に納付義務がありません。
また、開業してから2年以上経っていても、前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合にも納付する必要がありません。
住民税
住民税は、確定申告した際に、その内容が地方自治体にも伝達されます。
確定申告の時期から少し間をおいてから、6月上旬〜中旬頃に、住民税の通知書が自治体から郵送されます。
なお、住民税は、分割納付(4回)か一括納付を選択できます。
4回に分けて納付する時の納税スケジュールは以下の通りです。
住民税を分納する時のスケジュール
- 第1期:6月末日
- 第2期:8月末日
- 第3期:10月末日
- 第4期:翌年1月末日
住民税は地方税のため、納付方法は自治体によって異なりますが、納付方法は、銀行や郵便局、コンビニレジ、振替納税にはどの自治体も対応しています。
個人事業税
個人事業税とは、地方税の一つで、都道府県に対して納付します。 これは、個人事業主が事業をするうえで行政サービスを利用していることから、その経費の一部を負担するための税金になります。
個人事業税の課税対象となるのは、法律で定められた70業種に限られています。
だたし、対象となる業種であっても控除される場合もあるため、課税されない事業主もいます。
個人事業税が課税対象となる場合は?
個人事業税が課税対象になるのは事業所得が290万円を超える場合です。
事業所得が290万円以下であれば個人事業税は控除されます。
<事業所得の計算式>
収入 − 必要経費 = 事業所得
個人事業税の納付スケジュールは、納付の必要があれば、通常8月に都道府県税事務所から納税通知書が届きます。
納税通知書には、第1期分と第2期分の納付が添付されており、基本的に2回分けて納税しますが、地域によっては一括か2回に分けるかを選択できるようになっています。
2回に分けて納付する際の納税スケジュールは以下の通りです。
個人事業税を分納する時のスケジュール
- 第1期:8月末日
- 第2期:11月末日
個人事業税の納付方法は、専用の納付書(納税額30万円以下)であれば、コンビニなどで納税できます。
個人事業主の所有する資産に関する税金の納税スケジュール
事業をしている・していないに関係なく、資産を所有していると課税される税金があります。
課税対象となる資産と対象の税金については以下の表をご確認ください。
資産の種類 | 対象の税金 |
---|---|
土地 | 固定資産税 |
建物 | 固定資産税 |
償却資産(車は除く) | 固定資産税 |
自動車 | 自動車税 |
固定資産税と自動車税の納税スケジュールについて、それぞれ次の項でご紹介します。
固定資産税
毎年1月1日時点で所有している固定資産が一定額以上の場合、固定資産税が課税されます。
同一名義人が所有する土地・建物・償却資産について、課税標準額の合計が、免税点未満であれば課税されません。
それぞれの固定資産の免税点は以下の通りです。
固定資産の種類 | 免税点 |
---|---|
土地 | 30万円以上 |
建物 | 20万円以上 |
償却資産 | 150万円以上 |
固定資産税の納税期限は自治体によって異なります。 今回は一般的な固定資産税の納税スケジュールをご紹介します。
固定資産税の納税スケジュール
- 第1期:6月
- 第2期:9月
- 第3期:12月
- 第4期:翌年2月
第3期は自治体によって、納付期限が年末または年始に分かれます。
また、自治体によっては第一期の納付期限までに全期分をまとめて一括払いすることも可能ですが、総額は期ごとに支払いする場合と変わりません。
自動車税
自動車税は、毎年4月1日時点で運輸支局に登録されている車の所有者に対する税金のことです。
自動車には自動車税、軽自動車には軽自動車税が課税されます。
納税スケジュールは、自動車税、軽自動車税ともに5月末です。
個人事業主が従業員に支払う給料や報酬に関する税金の納税スケジュール
個人事業主が従業員に支払う給料や報酬に関する税には、源泉所得税と住民税があります。
それぞれの納税スケジュールについて以下でご紹介します。
源泉所得税
源泉所得税は、事前に税務署へ届出が必要で、納付は年2回です。
源泉所得税の納税スケジュール
- 1回目:1月から6月までに預かった源泉所得税:7月10日
- 2回目:7月から12月までに預かった源泉所得税:翌年1月20日
住民税
住民税の納付は年2回ですが、市区町村への申請の期限は自治体によって違ってきます。
住民税の納税スケジュール
- 前年12月から5月までに預かった住民税:6月10日
- 6月から11月までに預かった源泉所得税:12月10日
従業員数によって納税期限が異なる
給料を支払う場合には源泉所得税と住民税を天引きします。これらの預かった源泉所得税と住民税を納付期限までに納めます。期限については従業員数により異なります。
従業員が10人未満の場合は、「納税の特例」の制度を利用できる
従業員が10人未満の場合は、「納税の特例」という制度により、納税を先延ばしにできます。
源泉所得税の特例の届出は、納期の特例を受ける月の前月末日までに行う必要があります。
たとえば、7月から預かった源泉所得税の納税の特例を受けたい場合の届出の期限は6月末日です。
住民税の特例の届出は、一般的に住民税の納期の特例を受けようとする月の下旬の市区町村が多いようです。
従業員が10人以上の場合は、原則通り納税する
従業員が10人の場合は、預かった源泉所得税と住民税は天引きした日の翌月10日までに納付します。
納期期限よりも1日でも遅れると、基本的に追徴課税を上乗せして支払わなければなりませんので注意しましょう。
まとめ
今回は、個人事業主の事業に関する税金の納税スケジュールについて解説しました。
1人で税務関連も処理される個人事業主にとって税金は、整理だけでも大変で煩雑になってしまいがちに。
ただ、ご自身が課税対象はどの税金でそれをいつ納付する必要があるのかを把握できていれば、納税に関する心配が少し軽くなるのではないでしょうか。
ぜひ日々の業務のスケジュール管理と合わせて納税スケジュールについても管理を行ってみましょう。