
2025年分の所得を申告する2026年の確定申告・年末調整は、電子帳簿保存法の完全義務化フェーズが最終段階を迎え、インボイス制度の実務も定着期に入ります。
さらに生成AIの台頭により経理業務の自動化が加速し、経理代行やアウトソーシングの活用方法も進化しました。
そこで本記事では、個人事業主・小規模事業者が“格安”で確定申告・年末調整に対応するための最新トレンドと実務ポイントを解説します。
2025年の主な税制改正

2025年の税制改正は2025年12月1日に施行され、2025年分以後の所得税について適用されます。
主な税制改正は以下の3つです。
- 基礎控除の見直し
- 給与所得控除の見直し
- 特定親族特別控除の創設
それぞれ解説します。
基礎控除の見直し
基礎控除は、合計所得金額が2,400万円以下の場合は48万円でしたが、2025年分より58万円~95万円に変更されます。2,400万円超の基礎控除額は2024年から変更はありません。
| 合計所得金額 | 2025年分・2026年分 | 2027年分以降 |
| 132万円以下 | 95万円 | |
| 132万円超366万円以下 | 88万円 | 58万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | |
2025年の年末調整の際、源泉徴収税額表の適用税額が変わるため、給与計算システムのアップデートが必須です。
給与所得控除の見直し
給与所得控除の見直しでは、給与所得控除の最低保証額が55万円から65万円に引き上げられます。
ただし、給与所得が190万円以上の場合の控除額は変更ありません。
特定親族特別控除の創設
特定親族特別控除が新たに創設されます。
特定親族特別控除では、生計を一にする19歳以上23歳未満の親族(特定親族)の合計所得金額が58万円超123万円以下の場合、特定親族1人につきその所得金額に応じて3万~63万円の控除が受けられます。
電子帳簿保存法における2025年改正点

2024年より完全義務化された電子帳簿保存法ですが、2025年にいくつかの税制改正が発表されました。
- 重加算税10%加重の適用対象変更
- 青色申告特別控除の適用要件変更
それぞれ解説します。
重加算税10%加重の適用対象変更
電子帳簿保存法では、電子データの隠ぺいまたは仮装された事実があった場合、重加算税の35%に加えてさらに10%が加重されるケースがあります。
今回の税制改正では、電子データが一定の要件を満たすシステムで保存され、さらに税務署への届け出を行えば、上乗せされる10%分が免除されることになりました。
この税制改正は、2027年1月1日以降の申告(2026年分所得税)から適用されます。
保存された電子データの誤りなどが原因で、隠ぺいや仮装の事実が確認されてしまうことがあるかもしれません。
その対策としても、2026年分の所得税以降は一定の要件を満たすシステムでの電子データ保存と、事前に税務署へ届け出を行っておくことを強くおすすめします。
青色申告特別控除の適用要件変更
これまでは、青色申告に必要な帳簿を電子データで保存することで、65万円の青色申告特別控除が適用されていました。
今回の税制改正で、一定の要件を満たすシステムで電子取引情報を保存しておけば、65万円の青色申告特別控除が適用されることになりました。
また、適用には事前の届出が必要です。
この税制改正は、2027年分以後の所得税から適用されます。
一定の適用要件を満たしたシステムとは?
重加算税上乗せ分10%の免除と青色申告特別控除を受けるために必要な適用要件は以下の3つです。
- データの送受信・保存を、訂正削除履歴が残るシステム、もしくは訂正削除ができないシステム
- 訂正削除を行った電子取引データの金額は電子帳簿に記録できないようになっている、もしくは訂正削除を行った事実が確認できるシステム
- 電子取引データと電子帳簿の相互関連性が確認できるシステム
年末調整と確定申告を連動させる2026年マスタースケジュール

ここで、年末調整と確定申告を連動させる2026年マスタースケジュールを確認しておきましょう。
| 10月 | インボイス登録番号リスト最終更新 |
| 11月 | 扶養控除等申告書&在宅手当申告書回収 |
| 12月 | 保険料控除証明書・マイナポータル情報自動取込 |
| 1月31日 | 給与支払報告書・法定調書合計表提出 |
| 2月1日 | 電子帳簿保存法ファイル検証(検索性・真実性) |
| 2月16日〜3月16日 | 確定申告期間(e-Taxは24時間受付) |
電子帳簿保存法・インボイス制度の最終チェック

2026年は、電子帳簿保存法とインボイス制度が定着期に入ります。
ここで、電子帳簿保存法とインボイス制度の最終チェックを行っておきましょう。
- 改ざん防止
- 検索要件
- デジタルインボイス
- 紙証憑のスキャナ保存
それぞれ解説します。
改ざん防止
タイムスタンプ付与または改変履歴が残るクラウドで保存するようにしましょう。
検索要件
取引日・金額・取引先の3条件で即検索できるタグ設定が必要です。
デジタルインボイス
デジタルインボイスを導入することによって、インボイスの業務負担が大幅に軽減できます。
デジタルインボイスとは、電子インボイスを標準化したものです。
Peppolに準拠して標準化されたデジタルインボイスを使用することで、請求、支払い、入金といった経理業務や税務業務が自動化されます。
紙証憑のスキャナ保存
紙証憑はスキャナ保存がおすすめです。
紙証憑をスキャナ保存しておけば、紙証憑を保管しておくスペースを省くことができます。
最近はスマホアプリのOCR精度が90%を超えているため、手入力は大幅に削減可能でしょう。
生成AI×アウトソーシングで経理を劇的効率化

年末調整や確定申告をスムーズに行うためには、日々の経理業務が大切です。
複雑な経理業務ですが、生成AIとアウトソーシングを組み合わせることで経理業務を劇的に効率化できます。
生成AI×アウトソーシングを利用した経理業務は、次の手順で進めていきましょう。
- AI OCRで領収書を瞬時に読み取り
- AIチャットボットで税務質問を即時解決
- 経理代行アウトソーシングでレビューを依頼
それぞれ解説します。
ステップ1 AI OCRで領収書を瞬時に読み取り
領収書はAI OCRを利用すれば瞬時に読み取り可能です。
自動仕訳後の確認作業だけを行うため、経理時間を70%削減できます。
ステップ2 AIチャットボットで税務質問を即時解決
税務質問は、AIチャットボットを利用して即時解決しましょう。
国税庁が連携しているチャットボット「ふたば」を利用することで、税務の疑問点を調べる時間を短縮できます。
ステップ3 経理代行アウトソーシングでダブルチェック
AIが抽出したデータを、経理代行サービスの専門スタッフがダブルチェックを行います。
プロのスタッフがダブルチェックを行うことで、経理業務のミスを大幅に減らせます。特に税務に関することは複雑なので、プロのスタッフに見てもらうのがおすすめです。
F.U.-Labでは、繁忙月のみスポット契約できる格安プランが人気です。
また、F.U.-Labでは生成AI連携による即時仕訳確認と翌営業日のレビュー完了を実現しています。
提出直前!セルフチェックリスト2026

確定申告・年末調整の準備ができたら、提出前に必ず以下のセルフチェックを行いましょう。
- 改正後の控除額が反映されているか確認
- 青色65万円控除のe-Tax送信準備OK
- 電子帳簿保存法の検索条件を満たしている
- 経理代行との契約範囲・料金が最新の業務量に合っている
まとめ:数字を武器に2026年を飛躍の年へ

2026年は税務DXの完成形を迎える重要なタイミングです。
電子帳簿保存法とインボイス制度を“当然の土台”にしつつ、生成AIと経理代行アウトソーシングを組み合わせることで、作業コストを劇的に削減しながら精度を高められます。
小規模事業者こそ最新テクノロジーと外部リソースを活用し、確定申告・年末調整を経営戦略に変えていきましょう。

