- 個人事業主も健康診断を受けた方がいい?
- 個人事業主が受診すべき検査項目は?
個人事業主はぜひ受けておきたい健康診断。受診の義務があるわけではなく、経費に計上できないのが気になるところですが、会社員と違い個人事業主は健康を損なうと収入に直結してしまうリスクもあります。
しかし、
「健康診断をどこで受ければいいのか?」
「検査項目は何を選択すればいいのか?」
「人間ドックは受けるべきか?」
など、わからないことも多いのではないでしょうか。
そこで本記事は、
- 個人事業主が健康診断を受けるべき2つの理由
- 健康診断を受ける場所
- 人間ドックを受けるべきか
- 健康診断を受ける際のポイント
など、個人事業主が健康診断を受ける際に迷う点にフォーカスし、詳しく解説していきます。
個人事業主でも健康診断は受けておくべき理由
個人事業主は、健康診断を受けることが義務付けられているわけではありませんが、次の2つの理由から健康診断は受けておくことをおすすめします。
2つの理由
- リスクヘッジのために定期的に健康状態を把握する
- セルフメディケーション税制(医療費控除)を活用できる
それぞれ以下で詳しくご説明します。
リスクヘッジのために定期的に健康状態を把握する
個人事業主はリスクヘッジのためにも健康診断を受けることで、定期的に健康状態を把握しましょう。
特に、個人事業主の場合は、有給休暇や傷病手当のような生活保障はありません。健康を損い仕事ができない状態になると無収入につながってしまいます。
健康診断を受けておけば、自身の健康状態を把握することができ、病気のリスクを未然に防ぐ可能性も高くなります。
義務ではありませんが、個人事業主こそ健康診断を受けておくことをおすすめします。
セルフメディケーション税制(医療費控除)を活用できる
健康診断を受けていることはセルフメディケーション税制(医療費控除)の要件の一つとされています。
セルフメディケーション税制とは、2017年1月から開始された医療費控除の特例のことで、「健康の維持増進のための取り組み」として、対象となる医薬品(主にドラッグストアで購入できる市販薬)の購入費用(一定額以上の分)が所得控除を受けることができる制度です。
健康診断の受診についても「健康の維持増進のための取り組み」として認められているため、健康診断を受けた年には医療費控除の適用の対象になります。
対象となる健康の維持増進のための取り組みについて
- 健康保険組合、市区町村国保などが実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
- 市区町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】
- 予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
- 勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
- 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
- 市町村が健康増進事業として実施するがん検診
健康診断を受けると、自身の体のよくない部分を数値で確認でき、来年の健康診断で良い結果を残そうと普段の健康への意識が向上するメリットもあります。
個人事業主は「体が資本」といえる働き方なため、健康への意識は常に高く保っておきたいところです。
個人事業主が受けておくべき健康診断の項目
ご自身の体調や年齢にもよりますが、個人事業主が健康診断を受診するときの項目については、厚生労働省が事業者に向けて指定している定期健康診断の項目を参考にすると良いでしょう。
健康診断の項目
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査及び喀痰検査
- 血圧の測定
- 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
- 血糖検査
- 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
- 心電図検査
参考:厚生労働省
人間ドックは受けたほうが良い?
人間ドックは一般的な健康診断より精密な検査を行うものです。特にご自身や家族に持病や既往症がある場合や不規則でストレスがおおい生活など生活習慣に不安のある方は、30代から人間ドックの受診をおすすめします。
人間ドックは、原則として健康保険の適用外で、法廷検査項目が決まっていないため、医療機関によって検査項目が異なります。希望すれば、内視鏡やMRI、CTなど専門医療機器による高度な画像診断もでき、さまざまなプランから自分に適した検査を選べるのが特徴です。
あんしん財団や一部自治体が人間ドックの受診費用の一部を補助しているので、受診の際には確認するとよいでしょう。
がん検診は受けたほうが良い?
がん検診は、5大がん(胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がん)の早期発見を目的としています。
主に地方自治体が地域住民に対して検査方法や検査場所を指定して行っていますので、40代になったら1年おきにがん検診を受けることをおすすめします。
特に女性特有のがんである乳がん、子宮頸がんの検査は、自治体が主に30歳以上の任意の女性に対し、無料または格安の受診券を送付しています。
乳がんも子宮頸がんも初期は自覚症状がないまま進行するものです。無料や割引の対象となった年だけの受診では不安な場合は1年おきを目安に近くの病院などで検査を受けておきましょう。
個人事業主が健康診断を受けられる場所
個人事業主が健康診断を受けられる場所は、主に以下の3つです。
健康診断を受けられらる場所
- 市町村の健康診断
- 各病院・クリニックの健康診断
- 加入している国民健康保険組合の健康診断
それぞれの場所で健康診断を受ける方法について以下でご紹介していきます。
市町村が実施している健康診断を受ける
住んでいる市区町村によっては、その自治体が実施している健康診断を無料または低額で受けることができます。
お住まいの市町村のHPで受診できる医療機関や検査項目などが確認できますので、一度確認してみるとよいでしょう。
病院・クリニックの健康診断受ける
病院やクリニックが個別に実施している健康診断を受ける方法もあります。受診の申込は、インターネットや電話などで直接病院に連絡をします。
料金の相場は数千円から1万円前後です。
加入している健康保険組合等の健康診断を受ける
個人事業主の「業種や職種」によって加入する国民健康保険組合に加入している場合には、そこで実施されている健康診断を受けられることもあります。
国民健康保険組合とは同業種の人たちが集まってつくる組織のことです。
組合に加入していれば、会費がかかる代わりに健康診断の受診の際に給付を受けることができる場合がありますので、加入している組合のある個人事業主の方は一度条件を確認してみましょう。
個人事業主が健康診断を受ける際のポイント
個人事業主が健康診断を受ける際のポイントは、以下の2つです。
- 健康診断の項目は必要に応じて追加する
- 健康診断は経費にならない
それぞれ以下で詳しく解説します。
健康診断の項目は必要に応じて追加する
市区町村や病院の実施する健康診断は、いくつかの項目がセットになったコースが用意されています。一つずつ検査項目を選ばなくても、コースを選ぶことで一定の検査を受けることが可能です。
しかし、気になる箇所がある場合には、必要に応じてご自身で項目を追加することが望ましいです。
健康診断は経費にはならない
個人事業主の場合、健康診断にかかった費用を経費とはできません。
しかし、一定の条件を満たしていれば、セルフメディケーション税制の対象とはなりますので活用しましょう。
まとめ
個人事業主は会社員と違い、病気にかかったら収入に直結する場合が多いです。
健康診断にかかる費用は経費にはなりませんが、一定の条件を満たせば、セルフメディケーション税制を活用することもできます。
また、個人事業主は特に「体が資本」と言われていますので、定期的に健康診断を受けることでご自身の健康状態の把握し、健康向上のための取り組みとして、毎年受けるようにしましょう。