個人事業主が食費を経費として計上できるケースとは?具体例とポイントを解説

 (更新日2022.02.27)
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  • 食費を経費として計上できる場合とできない場合、具体的なケースを知りたい
  • 食費を経費計上するときの勘定科目はどのように選択すればいいの?

個人事業主になると、節税のために、少しでも経費を計上したいと考える方は多いでしょう。

事業のために必要な支払いであれば経費に計上することが可能ですが、中には個人的な支払か事業のための支払いか曖昧なものもあります。

特に食費については、プライベートと事業に関係するものの線引きが難しく、ケースバイケースで判定せざるを得ないのです。

そこで本記事では、食費を経費として計上できる場合とできない場合の具体的なケースを紹介するとともに、食費を経費計上する際の勘定科目についてパターン別に解説していきます。

個人事業主は事業に関係ある飲食費を経費にできる

個人事業主は事業に関係ある飲食費を経費として計上することができます。これは業務上の必要経費に算入できる費用については「業務上の費用」とされているからです。

事業に関係のある支出ですから、全額を経費とすることには何の問題もありません。

以下で、経費計上できるケースとできないケースをご紹介します。

経費計上できる飲食費

経費計上できる飲食費ケースとしては、

  • 取引先や仕入先の担当者と打ち合わせをかねて食事に行く場合
  • 営業活動の一環で、これから取引を開始する予定の会社の担当者とお酒を飲みに行く

などが挙げられます。

これらは事業に関係ある飲食費ですので、経費とすることができます。

経費計上できない飲食費

事業に関係のない飲食費に関しては、経費に計上できません。

たとえば、

  • 家族で食事をした
  • 休日に友人とランチをした

など、プライベートでの食事があげられます。

また、仕事中であっても、一人で食べた昼食代は事業のために必要な経費として認めらません。

飲食費を経費にする際の勘定科目

飲食費を経費にする際の勘定科目は以下の4つです。

勘定科目について

  • 交際接待費
  • 会議費
  • 福利厚生費
  • 旅費交通費

事業のために必要と言っても、どのような理由で必要性が認められるかを考えると、いくつかのパターンに分類されます。

そして、パターンごとにふさわしい勘定科目を区分するようにしましょう。

以下でそれぞれの勘定科目について解説していきます。

交際接待費

交際接待費とは、ビジネスを円滑にするために、取引先や仕入れ先との接待やビジネスの知見を得るための会食などに要した費用のことです。

交際接待費の注意点として、以下の3点があります。

交際接待費の注意点

✔ 交際接待費であると証明するためには、相手の名前が入った領収書が必要

✔ 1人あたり5,000円以上の支出でなければ、交際接待費に仕訳できない

✔ 資本金が1億円以下の企業の場合は、交際接待費の年間上限額は800万円

会議費

会議費とは、食事をしながらの打ち合わせで要した費用のことです。レストランの飲食代や、弁当の代金などが会議費として落とすことができます。

また、会議費の適応は従業員に限らず、社外の人がいても、会議費として申告することが可能です。

会議費の注意点としては、以下の2点です。

会議費の注意点

✔ 会議費の食事代は、1人あたり5,000円が上限

✔ アルコール関連の支払いが含まれていると、税務署から指摘を受ける可能性がある

会議費は、あくまでも会議に使う費用であるため、高価な飲食物やお酒などは、ビジネスの場にふさわしくないと判断されるためです。

福利厚生費

福利厚生費とは、従業員の慰安や医療、衛生などを目的として事業主が支出した費用のことです。

たとえば事業主が負担する従業員の健康保険、厚生年金などの保険料や掛金などが該当しますが、従業員全員が参加する懇親会での食事代も福利厚生費として認められます。

福利厚生費での注意点は、以下の2点です。

福利厚生費の注意点

✔ 申告できる費用は、従業員全体が平等に使える費用に限られる

✔ 特定の部署のみの親睦会は、福利厚生費として認められない。

✔ 福利厚生費の上限は、従業員1人あたり月額3,500円

旅費交通費

旅費交通費とは、事業で必要な旅費と交通費のことです。

たとえば、次のようなものが該当します。

  • 電車代
  • バス代
  • タクシー代
  • 高速道路通行料
  • 飛行機代
  • 宿泊代
  • パーキングなどの駐車場代
  • 燃料費

また、例外的な扱いになりますが、出張した際に朝食付きのホテルに宿泊する場合などは、その朝食代も旅費交通費に含まめることができます。

この飲食費は経費にできる?できない?ケース別具体例

この項では、飲食費として、経費にできるケースとできないケースの以下の6つの具体例についてご紹介していきます。

飲食費を経費にできる?できない?ケース①~⑥

  • ケース① 原稿作成のためにカフェを利用する場合
  • ケース② 昼食をとりながら会議をする場合
  • ケース③ 取引先と飲み会をする場合
  • ケース④ コンビニで弁当を買って食べる場合
  • ケース⑤ 従業員がいつでも飲めるように飲み物を購入しておく場合
  • ケース⑥ 会議や来客用に飲み物を準備する場合

それぞれのケースについて、詳しく解説していきます。

ケース① 原稿作成のためにカフェを利用する場合

特定の事務所を持たないライターやエンジニアの方は、作業を進めるためにカフェを利用することが多いでしょう。

この際に支払った飲み物や軽食の代金は、事業に必要なものとして経費に含めることができます。勘定科目については、一人で利用しているため、「雑費」となります。

ただし、仕事をするための支払いでなければならないため、高価な食事やお酒は含まれません。

ケース② 昼食をとりながら会議をする場合

従業員や取引先の担当者と会議をしながら昼食を一緒にしたのであれば経費として認められます。

この場合の勘定科目は「会議費」となります。

なお、お酒を飲むと会議費にはできないと決まっているわけではありませんが、社会通念上、昼間から会議でお酒を飲むことが一般的とはいえません。

そのため、お酒を飲むのは避けるとともに、会議の議事録などの記録を残しておくようにしましょう。

ケース③ 取引先と飲み会をする場合

取引先と飲み会をするケースは、経費として計上可能です。

仕事をより多く受注できるように、食事会や飲み会を開いて関係を深めるものであり、経費として認められます。

金額が大きかったり単価が高かったりする場合もあると思いますが、それが原因で経費にならないということはありません。

勘定科目は、「交際費」となります。

事業上の関係者を接待することは、交際費の典型的なパターンといえます。

ケース④ コンビニで弁当を買って食べる場合

コンビニで昼食を買ってきたようなケースは、仕事中であっても経費にはなりません。

食事をとるという行為自体は、事業のために行うわけではなく、誰もが行う行為だからです。

つまり、コンビニでお弁当を買うことは、生活費を支払っていることと変わりないということになります。

ケース⑤ 従業員がいつでも飲めるように飲み物を購入しておく場合

従業員がいつでも飲めるようにコーヒーやお茶、ウォーターサーバーなどを事務所内に購入しておく場合は、すべて経費として計上可能です。

すべての従業員が対象となるものであるため、勘定科目は「福利厚生費」になります。

ケース⑥ 会議や来客用に飲み物を準備する場合

会議や来客のために、飲み物を購入してくる場合も、経費として認められます。

この場合の勘定科目は、「会議費」となります。

また、打ち合わせを喫茶店で行い、その際の飲み物代を支払う場合も、会議費として認められます。

個人事業主が飲食費を経費にする際のポイント

個人事業主が飲食費を経費にする際のポイントは、領収書をもらいメモをとっておくということです。

経費とする食費については、税務署にその内容を聞かれても、経費であると説明できるようにしておく必要があります。その際にレシートよりも有効なのが領収書です。

領収書をもらう際には以下の項目が含まれているかを確認しておきましょう。

  • 店の名前(会社名)
  • 店の住所
  • 店の電話番号
  • 支払った金額
  • 但し書き

これらの項目は領収書に必ず必要な項目ですので、漏れがないかよく確認しましょう。

領収書の裏面に「何の名目」で「誰と使ったのか」ということを鉛筆書きで記入しておくとよいです。

これにより、領収書の信頼性が高まり、税務署から「私的な使途で使ったのではないか」という疑いの目を向けられる可能性がかなり減らすことができます。

また、会議を行った場合にはその議事録や何を話し合ったのかがわかるよう、領収書と一緒に保管しておきましょう。

まとめ

食費は、事業のために行う場合と完全にプライベートなものとの区別が曖昧になってしまいがちに。そのため、経費として計上するためには、自分でその内容が事業に関係するものであることを証明する必要があります。

基本的に事業に関連づけられる飲食費は金額の多寡に関係なく経費として認められる可能性は高いです。

その際のポイントとして、領収書をもらっておくことと誰と何のために行った飲食代だったかを明確にしておきましょう。

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