AIを使える事務代行とは、AIツールの導入や仕組みづくりではなく、日々の事務作業をAIを使いながら進める人に業務を任せることです。
AIの導入支援が「仕組みを作る」ところを担うのに対し、こちらは「作った後、毎日手を動かす」ところを担います。
AIを使って業務を進めることは、社内で全員で進めようとすると時間がかかります。社外のAIを使える人員も組み合わせながら、活用を進めていくのも一手です。
導入した企業は増えたのに、使いこなせている企業は少ない
生成AIを活用・推進している企業は、2026年春の調査で87%に達しました。未着手・断念はわずか4%です(PwC Japan「生成AIに関する実態調査2026 春」)。ほとんどの企業が、すでに何らかの形で手を付けている状態といえます。
一方で、効果のほうはどうでしょうか。管理職1,008名を対象にした調査では、「業務への効果を実感している」と答えた企業が86.7%ある一方、「大いに効果が出ている」と言い切れる企業は25.2%にとどまりました。「非常に活用している」に至っては4.4%です(コマースピック「2026年最新 企業の生成AI利用実態調査」)。
導入は進んだけれど、使い切れてはいない。この差が多くの企業で起きています。帝国データバンクの調査でも、課題はコストや機能不足だけではなく、社内のルール・教育・責任分界の設計にあるとみられています(帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」)。
ツールは契約した。使えそうな業務も見えている。それでも進まないとき、足りていないのは仕組みではなく、日々それを動かす人であることが少なくありません。
「AIを使える人」が社内にいないと、何が止まるのか
社内でAIを活用しようとすると、たいていはまず誰かに使い方を覚えてもらうところから始まります。ここで起きやすいのが、次のような状態です。
- 覚えたのが一部の人だけで、その人が忙しくなると全部止まる
- 研修はやったが、そのあと日常業務で使う場面が作れていない
- 触れる人はいるものの、業務の形に合わせて指示を書くのが面倒で続かない
- 使い方を見つけた人がいても、社内に共有されず個人の中で終わっている
全員が同じようにAIを扱えるようになるわけではありません。そして、覚えてもらうには時間がかかります。研修を組み、実際に触ってもらい、業務で使えるところまで持っていく——この工程そのものが、忙しい会社にとっては負担になります。
外部に任せるという選択肢は、この「覚えてもらう」工程を飛ばして、AIを使った作業をそのまま渡してしまうという考え方です。社内に使える人を育てる話と、いま目の前にある作業を片づける話は、分けて考えることができます。
弊社(Web特命係)がお手伝いしているのは後者です。AIの導入方針を設計したり、業務にAIを組み込む仕組みを開発したりする、いわゆる上流の役割ではありません。「この作業、AIを使ってやっておいて」と言われたときに、その場で手が動く。表計算ソフトを使える人に集計をお願いするのと、近い感覚だとお考えいただくのが実態に合っています。
AIの専門家というよりは、AIの使い方を知っている事務員、という表現がいちばん実態に近いと考えています。
実際にご依頼いただいたAI関連の業務
これまでに対応した業務を、いくつかご紹介します。AIを使ったご依頼は、ここ最近増えてきています。
営業リストの整理
Excelなどにある雑多なリストをもとに、情報の追記・企業役員の抽出・上場企業の抽出といった作業をAIを使って進めます。これまで1件ずつ手で調べていた部分が対象です。
このご依頼は、名刺交換の機会が多い社長の営業アシスタントとして動いているケースで発生しました。名刺の枚数が増えるほどリストは膨らみますが、そのままでは使えません。どこに連絡すべきかを判断するには、業種・規模・役職といった情報が揃っている必要があります。この「揃える」工程が、時間だけかかって後回しになりやすい作業です。
営業DM・返信文面の作成
名刺交換をした相手への連絡で、基本はテンプレートを使いながら、細かい部分の調整にAIの補助を借りる形です。相手の状況に合わせて一文を変える、といった調整が対象になります。
送信と返信対応は人が行っています。理由は2つあります。ひとつは、やり取りの相手が役員や社長であることが多く、そこをAIに任せきりにするのは適切ではないと考えているためです。もうひとつは、使うツールによってはAIが送受信のすべてを扱えるわけではない、という実務上の制約があるためです。クライアント様のご要望に合わせ、人とAIのハイブリッドなフローとなりました。
スライドの追加制作
Canvaを使ってすでにスライド作成を進めていたクライアント様から、「あと数枚だけ追加したい」というご依頼をいただきました。
このとき、クライアント様の側にはこういう判断があったと思われます。すでにスライドの型はある。少し足して整えるだけなら、他の人に頼んでも大きくずれることはない。それなら自分でやるより、任せてしまったほうが早い——。
CanvaにはAI機能が搭載されているため、それを使ってスライドを生成し、既存の体裁に合わせて整えたうえで、予定通り納品しました。ゼロから作る作業ではないぶん、任せる側の負担も小さく済みます。
ホームページの修正
Web制作の一部として、既存ページの手直しもお受けしています。AIを使う場面としては、次のようなものがあります。
- お知らせ・商品説明の文章を、読みやすい表現に整える
- 問い合わせでよく聞かれる内容をもとに、FAQページの構成をまとめる
- 修正点の発見と、その修正案の作成
いずれも、下書きをAIで作り、最終的な文面は人が確認して整える形です。文章そのものより、「手を付ける時間が取れない」ことがボトルネックになっている場合に向いています。
なぜAIを使った依頼に対応できるのか
「AIでこれをやってほしい」と言われたときに、その場で話が通じる状態を社内で作っているためです。
2025年に社内でAI研修を実施しました。ChatGPT・Claude・Gemini・Genspark などといった主要なツールについては、全員が一度は実物を見ている状態です。新しいツールが出てきたときも、同じように触って慣れるところから始めます。
ただし、研修をやって終わりにはしていません。
- 社内Slackでの活用事例の共有(誰かが見つけた使い方が、そのまま他のメンバーの引き出しになる)
- 研修内容の動画講座化(現在進行中。新しく入ったメンバーが同じ水準まで追いつけるようにするため)
弊社が社内で大事にしているのは、どのツールが優れているかを比べることよりも、まず日々の業務で使ってみることです。Gemini・ChatGPT・Claude のようなツールであれば基本的な性能に大きな差はなく、使い分けの話は、実際に使ってこだわりが出てきてからで間に合います。この順番でやってきたことが、初めて聞くツールでも臆せず触れる状態につながっています。
実際に、弊社をお選びいただいたお客様から、こう言っていただいたことがあります。
初めて聞くツールでも「すぐ調べて、たいていできます」と言ってくれる
「AIは使わないでほしい」というご依頼にも対応します
AIを使うことが常に良いとは限りません。クライアント様のほうで「ここは人が書いてほしい」とお考えになる場面もあります。
たとえばブログ記事の執筆では、あえて人の手を入れて人間味のある文章にすることが自社のサービスに合っている、と判断されているクライアント様がいらっしゃいます。この場合は弊社のライターが書いています。
どこにAIを使い、どこは使わないか。この判断はクライアント様の側にあるものだと考えていますので、ご指定があればそれに従います。AIを使うこと自体を目的にはしていません。
よくあるご質問
AIが出した結果は誰が確認しますか?
弊社の担当者が確認したうえでお渡しします。AIが生成したものをそのままお渡しすることはありません。営業DMのように相手のある業務では、送信と返信対応も人が行っています。
どのAIツールに対応していますか?
ChatGPT・Claude・Gemini を使った業務のほか、Canva に組み込まれたAI機能(Canva AI)や Genspark などのツールを使った業務の経験もあります。すでにお使いのツールがある場合はそちらに合わせます。
AIではなく人に書いてほしい業務があります。対応できますか?
対応できます。ブログ記事などで「人の手を入れた文章にしたい」というご指定があれば、弊社のライターが書きます。どこにAIを使うかの判断はクライアント様の側にあるものと考えています。
最低どれくらいの量から依頼できますか?
月20時間からを目安としていますが、月10時間からもご相談に応じています。業務単位で、またはもっと包括的に、弊社では企業様に合わせ柔軟にご対応しています。
実際に複数社を比べて選ぶ段階に入っている場合は、料金・最低発注量・業務フローへの合わせ方といった比較の軸を整理した記事もあわせてご覧ください。
まとめ
生成AIを導入した企業は87%に達しましたが、「大いに効果が出ている」と答えた企業は25.2%にとどまっています。仕組みを入れるところまでは進んでも、それを日々動かす人が社内にいない、という状態が広く起きています。
社内でAIを使える人を育てることと、いま目の前にある作業を片づけることは、分けて考えられます。育成には時間がかかりますが、作業のほうは外に出せます。営業リストの整理、文面の作成、スライドの追加、ページの手直し——この記事で挙げたのは、いずれも「やり方は分かっているが手が回らない」種類の業務でした。
AIを使った作業を任せられる相手を探しているようでしたら、どの業務なら渡せそうかを整理するところから、一度ご相談ください。

